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作り手によるドキュメンタリー批評

『童貞。をプロデュース』問題 テープ起こし

加賀氏と松江氏の対談 テープ起こし(3)

*誤字・脱字を修正しました。 (1/23)

松江:ちょっと、何ていうんですかね、今回取材じゃないですか。(藤本さんと川上さんが)どんな風に思われているかちょっと聞きたいんですけど。

藤本:どういうふうに思われているか?

松江:今の加賀君と僕の話を。

藤本:えっと、基本的に加賀さんの考えはインタビュ-したときから変わらないので、やっぱり松江さん何ひとつ自覚がないんだな、っていうのはちょっとこの話を聞いていて、あります。どうしても全部、一方的に自分の都合のいいように解釈していたっていうのは、お話を聞いていて思いました。で、そのへんちょっと事実関係を確認しつつ、どういうふうに考えていたのかなってことを確認したかったわけですけど、やっぱりどうしてもそういうふうには感じるなって。

松江:なるほど。

川上:なんかその、ヤマグチって人と、シオリさんのレイプの話、ありますよね

松江:ああ、はいはい。

川上:割と似てるんですけど、加害者側ってだいたい加害意識ないんですよ。で、そのあとも加害意識を持てない人が多くて。その例えば、レイプのあとにシオリさんが、昨日はありがとうございましたってメールをよこしていたんですね。その送ったっていうのを、あの時そう言ったじゃないかって言うこと自体に違和感があって、やっぱり客観的に見ていると、松江さんの気持ちも分かるけど、その行為自体も自分の加害性に対する認識が甘いんじゃないかなって。

松江:そう思います。

川上:あの時は、加賀は協力してくれたと思うって言うなら本当にそう思ってたんだろうし、その許されたっていうか。「結婚おめでとうございます」って言われた時も、関係性も、もう十年経って大丈夫だって思ったのかもしれないですけど、ただやっぱり当時と、それを継続する加賀さんの被害の認識が甘い。

松江:そうですね。

川上:それを、こういう場で話すことで改めていってもらいたいというのは、第三者として思います。

藤本:ちょっと事実関係の話をしてもいいですか?

松江:あの、僕もちょっと今話していて、それを思っていて、それを・・・何ていうかな

加賀:極論すれば、ユダヤ人をガス室に送った人と同じ感覚ですよ。

全員:・・・・極論・・(苦笑)

加賀:自分がやってることに対して無自覚だっていう。

松江:そうだね。

加賀:あの人たちだって自分たち仕事してるだけだって感覚ですよ。加害意識ないわけですから。でもやってることはとんでもないことしてるわけじゃないですか。だから、簡単じゃないんですよね。もっともっと重く受け止めるべきだと思いますよ。

松江:うん。

加賀:僕ははっきり言って、この件に関して死ぬ、死ぬほど悩んだし、死んでもおかしくないくらい悩んだし、松江さんが殺されてもおかしくないようなことをしたんだと思いますよ。それくらい自覚を持った方がいいと思います。でも、僕は何度も、お二人・・・直井さんたちにも言いましたけど、俺は誰にも死んでほしくないし、誰にも殺されてほしくないんですよ。だから今こういう話をしているんですよ。それを分かってもらいたい。別に松江さんを糾弾して気持ちよくなりたいわけじゃないんですよ。ってか、どうやったって気持ちよくならないですよ、俺は。それはたぶん松江さん直井さんのできることじゃないですよ。だから、できないことは求めないです。

松江:そうですね。あの・・・あの、すごく今カメラが回ってるし、具体的なことを出したくないから、曖昧な言い方になっちゃうけど、僕の中では、抽象ではなく、死んだっていうのはあるんだよ。抽象じゃないよ、本当に。っていうのはあって、今ここにいるっていうのはあるんだよね。だから、加賀君は死んでほしくない殺したくないって言ったけど、実は僕は、比喩って言葉じゃなくて、比喩じゃなくて、あの、ちょっと命なくなったなって感じる経験があったの。俺は、この二年の間に。だから僕は、ずっとこう加賀君と話す機会探していたし、っていうのは待ってた。

加賀:俺も、こうやって会って機会を持って、生きている松江さんと話ができるっていうことは、僕はポジティブに捉えていますよ、当然。

松江:やっぱね、ネガティブな状況にあると、言葉の比喩じゃなくて生き死にってあるんだよなぁって、ごめんね、カメラ回ってるから言わない、変に濁してるみたいに受け止めてほしくないんだけど。自分には。

加賀:もし触れてほしくなかったら言ってください。

松江:でもそれはちょっと、俺だけの話ではないから。ただ、そういうことがあったんだよ、俺は。

加賀:でもそうですね。

松江:でもそういう原因は全部自分だって思ってる。ただ自分にそういうことがあると、こんなことまで起こってしまうんだっていうのはあって、それで、加賀君と会って話しようって、いうふうに。そういうこと。

加賀:松江さんは奥さんとか子供さんとか、ご家族に対する責任もある、あるでしょうし、やっぱり、生きててよかったと思います。それを踏まえたうえで、あるいはそれを踏まえなくても、生きててよかったって思うのは、これから松江さんはできることってあると思うんですよ。この件に関して、嫌かもしれないけど。だから死ぬべきではないし、やるべきことをやるべきなんじゃないかって。それは僕も一緒ですけど。うん。僕もトイレ行ってきていいですか。

(加賀氏 席を離れる)

松江:なんか僕がその・・・これは加賀君が来てから言うべきかな。なんつうかな、僕が当時感じてたこととか言ってることがまた誰かを傷つけるっていうか。さっきの話、例えですけど、そういうつもりがなくてもそういうことになってしまってるっていう・・・どういう伝え方をしたらいいのか。

川上:それってすごく難しい・・・

松江:ただ、一個一個事実を確認しないといけないから、そこに対してだからこうだ!って言うつもりは僕は全くないんですよ。

藤本:だから今日はそこに気付いてもらう会、というか。まぁそれは本人が来たら、

川上:だからこれは広く議論すべきだと、ドキュメンタリーの作り手として思っていて、それって我々作り手にとって誰にでも起こりうる話だと思うんですよね。加害意識なくて・・・。

(加賀氏 戻ってくる)

川上:だからこの問題は、話はもちろん大事ですけど、それだけじゃなくてもっと広く考えてほしいし、松江さんにもそのつもりで発信していったし、考えてほしいんですよ。みんな衝撃を受けたっていうか。松江さんってドキュメンタリー界では若手としてかなり業界を切り開いてきた人。メディアも取り上げたし、そういうポジションだと思うんです。けど、当時の演出方法とその編集方法って、ドキュメンタリー的、映画的にやっちゃいけないやり方ですよね、それは。まぁフェイクドキュメンタリーって言ってればよかったんだと思いますけど、チラシにもドキュメンタリーって書いてあるし。ドキュメンタリーが、という名前がもつ、ドキュメンタリー表現の強みが、そのルールを侵したと演出だと思っていて。それを完全に良しとしていた・・・

松江:当時の僕はそうだった。良しとしていました。

川上:それが・・・ドキュメンタリーを作っている人たちは衝撃を受けた。で、松江さんは当時、映画学校を出てしばらく経っていて、「ドキュメンタリーは嘘をつく」で、その深さは十分自覚していたはずなのに、なんでそんな演出が許されると当時思っちゃったのかなっていうのは不思議で。

松江:そこ。

川上:AVの仕事で倫理的な閾値みたいなのが下がって、加賀さんを連れて行っちゃったのかなっていうのは、

松江:ああー・・・それは違いますね。

川上:そこは松尾さんも否定していたので。

松江:AVの仕事が関係あるかっていうと、違いますね。逆に当時AV作ってましたけど、松尾さんのところ以外は一社だけ、一回だけ撮っただけで、松尾さんのつながりで撮って、当時僕正直言うと、AV監督とはおこがましくて言えなかったですね。松江はAVを撮ってる自主映画の人、みたいな認識だったと思いますね。

川上:ぶっちゃけ当時の演出方法って、加賀さんをだまして強要したとしか思えない。演出として許されるっていうのは、どういうところで?自己分析として今、考えると。

松江:今?今思うとそれはできないしやらないし、許されることじゃないという前提で話しますけど。当時は、あの当時、ガンダーラ映画祭って・・・分かると思うけど、「童貞。をプロデュース」って今はシネマロサで劇場公開ってありましたけど、もともと狭い自主上映のイベントの上映会に向けて作ったやつなので、そこまで当時の僕以外の、何ていうかな、ドキュメンタリーっていうふうにしまださんはドキュメンタリーの映画祭って言ってたけど。あの要するに、何ていうのかな、いわゆる劇映画でないものをドキュメンタリーって呼んでたところはありますね。当時の、ガンダーラ映画祭。だから、いやこれ劇映画じゃんっていうのがあっても、いやこれドキュメンタリーっ言ってやってたのはありますね。僕がなぜああゆうことをやったかっていうのも、ガンダーラ映画祭においてカウンターであろうとしたっていうのがあるんですよね。あの、当時のメジャーな映画が、当時がね、日本映画が元気のいい、みたいな、興業的にきてる、みたいな。「ザ・ムービー」とかテレビ局の映画がすごく強いときだったので、そういう流れのなかでカウンターであるためには、こういった赤信号っていうか。そういったものもやるべきだっていうのは、ありましたね。当時。

藤本:あのー、それは何となく理解できますね。ただ、作品の撮り方自体も、加賀さんの話を聞いてて、結構強引じゃないですか。その強引なやり方って、松江さん自身も得意・不得意なものなのか、誰かから学んだのか、どこかから学んだのか、ってちょっと気になります。それはほかの作品でもやっているのか、とか。

川上:それはけっこう大事ですね。これでOKだって思ってたら、それでいいって周りも思ってたら、アリだよねってなってるから。その認識が今でも継がれているのであれば。

松江:今はそれできないです。そんなことやらなです、今は。ありえないですね、プロデューサーがいて・・・

川上:その感覚、僕にも分かります。当時は?

松江:当時は、「童貞。」の1と2に関してはありました。それは自分がカメラを持って、例えば加賀君、梅澤君、っていう、なんていうんですか、一対一で対峙しているって関係性の、僕が全部、その背負ってるっていう感覚がありましたね。でもほかの作品も全部そうかっていうと、それは違いますね。「童貞。をプロデュース」という作品に関しては、それはありました。そこは認めます。

川上:自分の責任で?

松江:うん、うん。いや、これはドキュメンタリーだって奢りはありましたね、当時。それは、なんだろう、何がドキュメンタリーかって議論は、今もあると思うんですけど、当時は・・・

川上:まぁ全部グレーではありますけど、どこまでが黒かっていうのは分かりますけど。

松江:だけど、僕その加賀君が、十年前に、その、ブログに書いたことあるじゃん?あれはヤラセだ、って。それも、僕は別にそれを見たうえで映画観てくれればいいみたいな。気持ちがありましたね。あの時は。ああ。観客が判断してくれればいい、みたいな。気持ちがありました。

加賀:でもたぶんその、言葉って相手と意味が共有できているから成立するんだと思うんですよ。で、お客さんの大部分が、松江さんと同じようにドキュメンタリーを定義できているのかっていうと・・・

松江:それは違う。

加賀:それを公示してるわけじゃないですか。公にしているわけじゃないですか。それを、要は、松江さんが意図するドキュメンタリーの定義と、それを観ている不特定多数の人たちとの間の、相違によって生じる被害っていうのも想像できたのかなってことですよね。僕はそのことも前も言ったと思います。十二年前にも。僕は嫌だったと。さっきも話をしましたけど、そのエンジョイしてないって発言も嫌だったと。で彼女とのことも、現実とは異なる形に歪められて、そういうふうに不特定多数の眼に晒されるのは嫌だと。

藤本:あの広く見せるって前もおっしゃいましたけど、あの、感情の問題は置いといて、権利の話に戻ると、最初に加賀さんと取り決めをしたわけじゃないですか。相談して製作しよう、と。なんだかんだあやふやになっていっちゃいましたけど。でそのあと断絶して、二年目また上映しているわけじゃないですか。

松江:はい。

藤本:それはなんで上映したんですか?

松江:えっと劇場の要望と直井さんとで、毎年やろうって。たぶん一年目の上映のあととかにそういう話になった。気がしますね。

藤本:そこをなぜ、加賀さんに相談しないんですか?

松江:加賀君とすでに断絶してたからっていうのが・・・

加賀:いやその前から相談してないですけどね。ロサでやるって段階でも、いちばん最初にやるときも。もう決まったって時点の連絡だったんです。事後報告として。

藤本:単純に権利として、断絶したからって連絡しなくていいわけではないと思うんですけど。

松江:うーん、そうですね。

加賀:先ほど、自分の責任で、自分が全部責任を負うからって話だったんですけど、責任は履行してないですよね?だからすごく無責任な言い方かなっていう。

松江:そこは正直僕は、直井さんに任せっきりだったていうのはありますよね。そこは。

藤本:直井さんには、そういった取り決め、加賀さんと話し合って決めるっていうのは伝えたんですか?

松江:加賀君と相談して取り決めしてるっていうのは伝えてないですね。ただ、直井さんも、そういうふうに加賀君と僕が争ってるっていうのは聞いていたし、どちらかというと僕が直井さんにそこを任せちゃってたっていうのがあります。上映の取り決めだとか進めるっていうのは全部直井さんに任せちゃってたんだよね。直井さんに任せてるからみたいなことを。

加賀:だから直井さんには(松江さんと加賀さんに)そういう取り決めがあって、そういう話で始めててっていうのを言ってて。そしたら直井さんは、それは知らないと。それは松江さんとの間のことだから知らないと。で松江さんにその話をしたら、それは全部直井さんに任せてるからって言われて。でこっちが宙に浮いた状態で話が進まない、っていうのが十年前の状況ですね。

松江:そうだね。

藤本:じゃあ松江さんと直井さんの間もコミュニケーションが取れてないってことですね。

松江:そうですね。っていうのは、あった。あると思います。正直。

加賀:じゃあ誰も責任を取れてないってことですね。

藤本:その流れで言うと、十周年のイベントのときの話を聞きたいんですけど。舞台挨拶であの事が起こったわけですけど、あのとき松江さんは全然反応しなかったですけど、あれはなんでなんですか?

松江:あのー、あれは・・・

藤本:しなかったのか、できなかったのか分からないですけど・・・

松江:いや、あの観た直後のお客さんにそういうことを言いたくなかったっていうのがあります。

藤本:言いたくなかった?

松江:あの、何が本当で何が嘘だ、みたいなこと。加賀君と今話しているような内容を、観た直後のお客さんの前ではするのは絶対したくなかった。

藤本:っていうのは、作品を守るため。加賀さんよりも?

松江:ええ、ええ。そこは、作品は、監督の僕が守らないで誰が守るんだって気持ちがありました。あの時は。だから舞台の上で話す話じゃないって言ったのはそういうことですよね。

藤本:たぶん、そういうレベルの話じゃないかなって僕は思っていて。そこで作品を守るって、多分、それって物作ってる人だけの言い分だと思います。

松江:本当にそう思います。

川上:いや、物を作ってる人だって、ドキュメンタリーを作ってる僕から見ても、作品を守るというより出演者が被害を訴えてるそっちだろって気持ちは・・・

松江:そうですね。

川上:ちょっとそれは、逃げではないかもしれないですけど、この場合は、それでは成り立たないでしょうっていう感じがします。だって、出演してもらって、その人があって作品があるわけですからね、僕たちの仕事って。その人がダメだろうって言ってるのに強引に進めちゃうのはありえない。

松江:そうですよね。

満若:ただそもそもそういう認識が、なかった?

松江:ええ。

加賀:まぁ僕はかっこつけた言い方にしか聞こえないですけど。

松江:ごめんごめん。

加賀:だからそれは作品を守ってるんじゃなくて、自分を守ってるんじゃないですか?

松江:そういうふうに言われると・・・ほんとごめん、当時はほんとにそのつもりだった。ほんとに。だから加賀君が観てるお客さんを否定するっていうのはちょっとショックだったんだよ。今観たばかりのお客さんの前で、こういうふうに笑ってるあなたも同罪なんですよってその言葉を、うん・・・。僕は、お金払って観に来てくれた人の前でなんてこと言うんだって僕はあの時思ってた。

加賀:うーん。

松江:それは、お客さんの前では、言ってはいけないていうふうに思ってた。僕は。だからこそ、あの時は、自分が、うん。

加賀:逆に言うと、お金払ってるからこそ責任が発生すると思うんですけど。僕は。それは客商売の「お客様は神様です」みたいな感覚でドキュメンタリーやってるんだったら、そっちの方が無責任だと思うんですよね。お客さんはお金払うことによって作品の正当性をある程度担保してるわけじゃないですか。お金によって。要はお客さんは責任を負ってる訳なんですよ。それは商売人の発想じゃないですか?作家というよりも。

松江:それはちょっと・・加賀君、今すぐには答えられない。加賀君と僕との考え方の違いだと思う。僕は、「観てるあなたたちも同罪です」は僕はちょっと、そういうことは言ってはいけないって僕は思いました。

藤本:僕の感想で言うと、僕は加賀さんが観客を責めてるようには見えなくて、「同罪、みたいなところはありますよ」くらいで言ってたじゃないですか。だから、明らかに問題提起として言ってるわけですよ。

加賀:そうですね。だから僕もそこまで強く言ってるつもりはないですよ。要は責任は発生するだろうなと、何らかの。観るってことで。例えば、松江さんはよくクラウドファンディングやりますよね。あれもお客さんからお金を集めてるじゃないですか。広く言えば映画を作るって過程の中にはお客さんからもらう収益を使って作品を完成させるわけじゃないですか、あの、前後別があるとしても。例えばクラウドファンディングで何か一つの政治的なテーマを・・・

松江:ちょっとまって、ごめん、クラウドファンディング・・・

加賀:僕の話を聞いてください。例えば政治的な主張があると。ある種の意趣を含んだドキュメンタリーのクラウドをやっていたとして、それに対してお金を払いますという人がいた場合、やっぱりその言葉、その映画が持っている言葉とかメッセージ性には責任を負う行為だと思っているんですよね。それは。

松江:うんうん。

加賀:まぁ。どうぞ。

松江:映画を観に来るお客さんと、クラウドファンディングをするお客さんとは全然別だと僕は思う。そこ。

加賀:じゃあ映画を観るお客さん・・・

松江:ただ、映画を観るお客さんを、期待して観に来るのとそうとは違うものだとか。お金を払う前と後で変わる可能性もあるし。僕はあのとき、二年前のロサの時に限らず、「童貞。をプロデュース」という映画を観たお客さんが感じる、ポジティブなものもネガティブなものも、その人それぞれのもの、だよね?

加賀:うん。

松江:そこに対して加賀君が、いやこうなんだ、って一方的な見方を・・・

加賀:一方的な見方じゃないです。

松江:いや、それはそう見えた。

加賀:いやいやいや。

藤本:いや、それは一方的なんでしょう。被害者なんですから。

加賀:いやいや一方的なんですか?果たして。あれを見て本当に思うんですか?松江さんは。

松江:二年前のあの時はそう思ってた。

加賀:うん。

松江:そこは加賀君の真意が分からなかったから。二年前は。でもこの二年間で、加賀君の言葉とか振舞いを見て、だから劇場が上映中止にしたってところにやっぱズレがあるから。いろんなところでズレがあるんだなと思った。今話していて。

加賀:今、気付くんですか?

松江:いやだって二年前、加賀君と話したの・・。あのショートメール以外、直接話したの・・・

加賀:いやずれてるのはもっと前からですよ。あれは、ある種の結果だと思いますよ。っていう認識がないんだとしたら、やっぱり・・・

松江:そこは本当に申し訳ない。

満若:今は、二年前にお客さんも同罪ですって言ったことに対しては理解できるんですか?

松江:できますね。今は理解できますね。ただ、僕がそういう「童貞。をプロデュース」について加賀君と同じことが言えるかっていうと、それは違います。

満若:ちなみに、どういうふうに理解されたんですか?

松江:あの、加賀君がインタビューで言ってた、その、「物事の見方をひっくり返すみたいなことがしたかった」って話してたよね。

加賀:文脈を変える。

松江:文脈を変える、っていうふうに理解してます。

満若:僕は、肝心な話、加賀さんはそれを主張する権利があると思っていて、なぜかというと、彼はまぁ当初は作り手として参加していて、でも出来上がったものについては監督としては扱われないし出演者の一人として扱われていると。その彼が出たことによってお客さんに笑われている。で例えば「AV女優は汚い」という発言も、全部彼が背負っていくんですよね、ドキュメンタリーとして上映したことによって。それに対して彼が違いますよ、という権利は持っている。

松江:そうですよね。

満若:持っているはずですし、松江さんが事実と違うと言わない以上、彼が言うしかないですし、笑われてることに対して笑うなよって言う権利って、やっぱり映ってる人にあると思うんです。だから参加することを主張することは、全く同義に反さないとは(思う)。作り手側の。

松江:というふうには思います。

加賀:あとは見てる人も同罪っていうことって、僕がお客さんにあるだろうと思う責任は極めて限定的で。例えば僕があそこで公然わいせついう意見がだと・・・ここにも書いてありますけど、「公然わいせつだ」という人がいて、見たくないもの見せられたっていうんだったら、あなたたち何見にきたか分かってるの?ってい責任です。僕が言いたいのは。もうちょっとプラスαだとは思いますけど。謝罪しろということではなくて、多少不快な思いしたとしても、それは見にきたものがそうなんだから、それくらい勘弁してよっていう僕のエクスキューズの一つですね、それは。

松江:なるほど・・・。

加賀:誤解はそこにもあるかなという気がしますけど。

満若:声明(文)に戻りますか・・・?

加賀:声明にもどっていいですか?整理しましょう。

加賀:「松江監督及び配給会社としては平穏に本作品の上映するため、加賀氏に対して協議を申し入れましたが、加賀氏は協議に応じませんでした。」でもそもそも、協議に応じなかったのは松江さんだと思うんですよ。12年前の話。そこが抜けてる気がするんですよね。

松江:なるほどね。

加賀:それこそ一方的だと思うんですよ、僕は。あと「加賀氏と和解できないまま本作品の上映を継続するのは、観客の安全を担保できない恐れがあります。」って、本気で思って書いたんですか?

松江:劇場がそういう風に言っていたからです。

加賀:書けと?

松江:はい。

加賀:だから書いたと?松江さん本人は、どうですか?

松江:僕も、そう思ってた。

加賀:観客の安全を担保できない恐れがあると?

松江:うん、うん。

加賀:それは、どういうことですか?

松江:加賀くんが舞台の前で下半身を出して僕の髪をつかんだっていうことをしていたからです。

加賀:観客の安全ってなんですか?その時の。

松江:劇場があの時言っていたのは、こういうことが起きている以上、加賀くんが例えば…なんていうのかな、上映中にそういうことをしないという約束が取れていなかっから。

川上:お客さんは関係ないんじゃあ・・?

松江:お客さんに関係あるっていう風に考えていた。当時の劇場と僕と直江さんは。お客さんにも関係があるんじゃないかっていう風に考えていた。

藤本:これ、何が問題かって昨日直江さんにもお話ししたんですけど、あたかも加賀さんが観客に暴力を振るう可能性があるかのような文言になっている、これだと。暴力というか、なんらかの暴行を振るう可能性があるかのような主張になっているので、これは加賀さんの名誉毀損というか、公にそこは毀損されている可能性があるんじゃないかということですね。それは直江さんもやっぱり認めていらっしゃるので。

加賀:ま、ミスリードがありますよね、っていうことですよね。この書き方には、そもそもが。逆に言うと、じゃ、警察呼べばいいじゃないですか、っていう話ですよ。観客の安全を担保するんだったら。

松江:あの…いや、そういうことも話あった、うん。

加賀:そうすればよかったじゃないですか。

松江:そういうことをしてまで上映はできない、って言われた。シネマサイドには。

加賀:でも、そもそも僕が観客に暴力を振るっているっていうミスリードがあると思うんですよね。それは松江さんが、ドキュメタリーっていう言葉が一般的には松江さんの認識とは違うと分かりながら、ドキュメタリーという言葉を使い続けたのと同じように、ミスリードしてるなと思うんですよね。全体的にこれ、卑怯な文章だと思うし。卑怯だし、なんかこう…考えが足りないと僕は思うんですけど。「本作品の撮影は、加賀氏の了承のもとに行われ、強要などないことについて・・・」これ本当にそうなんですかね?

松江:そこはさっきも言ったように今ここで加賀くんと話していて、それは否定します。今話していて。この当時は僕、さっきも言ったように、加賀くんと一緒に作っていたという気持ちがあるから。そこは今、さっき確認した通り。僕は一緒に作っているつもりだった。

加賀:本当にそう思って書いたんですか。

松江:本当にそう思ってた。一緒に作ってた。パート2も一緒に作ってたと思ってた。

牛丸:すみません、これ、僕の単純な疑問なんですけど。

松江:はい。

牛丸:加賀さんがネット上にあげた、以前松江さんとお話しされた映像。要するには上映を中止してほしいっていう要望があって、電話でお話しした時に上映の中止はできないと。さらにいうと、この作品というのは加賀さんが「一緒に作ったんじゃないですか?」っていう言い方をした時に、「いや、あれは俺が一人で作った」とおっしゃってたと思うですよ。

松江:あぁ、そうだね。

牛丸:あれは、売り言葉に買い言葉っていう意味だったかもしれないですけど、ただその権限が自分にあるから上映の行使を続けると。要するに加賀さんではなく僕が作った作品だから、上映をし続ける権利が自分にあるんだという主張をされていると思うんですけど。それによって上映を続けたっていうことを考えると、一緒に作ったという意識がその後持ち続けられていたっていうのは、加賀さんにとっては少なくても、あんなこと言われたら松江さんは一緒に作った意識じゃなくて、自分で作ってかつ自分が不本意なものっていうのを受け入れずに上映を続けたと思っているだろうと思うんですね。

松江:そうですね。

牛丸:あの件ということに関しては、忘れちゃってたということですか?

松江:いや、あの時のは、売り言葉に買い言葉の話じゃないですけど、そういう風にでも主張しないと上映が続けられないと思っていたからです。

牛丸:じゃ、あれは本心から言っているのではなく、一緒に作ったものだけども、多少強引にでも上映を続けたいと思っていたから言った…?

松江:そうです、だから言った言葉です。それはやっぱり…実際作品を見てもらえばわかるけど、僕だけのアイデアで作っていた映画じゃないですから、この映画。加賀くんがカメラの前で歌を歌ったりとか。それは、その…なんていうんですかね。一方的なその、ああしろ、こうしろだけで作ったものが、果たしてそれが面白い作品になるかっていうと、そんなのにはなるわけないし。ドキュメタリーが作れるわけがないので。

川上:ま、やっぱり、上映に関しては自分の作品だったと押し切っていて、この件に関しては共同作品だって・・・ダブルスタンダードって言われてもしょうがないですよね。

松江:そうですね。

川上:それは認めたほうがいいというか?

松江:ええ、当時の自分はそういった強引にでも進めないと上映できないと思っている時がありました。加賀くんの意思を無視したり。

川上:加賀さんの中では、そういうのが溜まりに溜まって矛盾ばっかりっていう風になってくる…?

加賀:ま、矛盾もそうですし、そもそもこれ自体(声明文)が悪質だと思うんですよ。非常に。「加賀氏が強要を受けたと主張するシーンでも、加賀氏は一貫して撮影に協力的でした。」本当にそうなんですかね?一貫してって書いてますよ。僕は「嫌」って一言も言わなかったですか?

松江:あの…

加賀:一貫してるんですよね?

松江:2年前にこれを書いている時は、そういう風に思ってた、ごめんなさい。

加賀:見た人は、これが嘘だとわかるわけじゃないですか、そもそも。その…お客さんに対してって、さっき言いましたよね?見た後のお客さんに対して、そういう話をしたくないって、さっき言いましたよね、だけどこれを見て、矛盾だらけだっていうことは、見た人がわかるじゃないですか。その見た人の中の作品に対して、不誠実過ぎるとおもいますよね。作品を守るって言ったけれども、そこから僕は詭弁だと思うんですよ。

松江:そっか…

加賀:作品を守りたいんじゃなくて、あなたはあなたを守りたいんでしょ?自分を守りたいんじゃない?って、僕は思う。これを見てて、そう思うわけですよ。だから本当に誠実に話してもらいたいと僕は思います。そうしない限り、本当に事態は…

松江:今僕が話しているの、誠実さを感じない?感じてもらえない?

加賀:そうですね、いや、僕は誠実だろうなと思いながら聞いてたけど、ちょいちょい「やっぱり、ああ、やっぱり松江さんだな」って時々思います。

松江:今?

加賀:うん、やっぱり自分を守ってるんじゃないかっていう印象が、どうしても拭えないです。だから、本当に、言葉を選ぶのは大事だと思うんですけど、本当に誠実に話してもらいたいな、って。僕はこの件、本当に解決したいと思っているんで。協力してもらいたいんです。そうじゃなかったら、本当に、本当に良くないと思います。良くない方向に行くと。それは、松江さんにとってもそうだし、ま、僕にとってもそうなんだと思います、それは多分。僕は解決したいと思っているから、望んでいるから。

加賀:で、あと、ここですよ。「このことについては、加賀氏は一貫して協力的でした。松江監督はなんら強要行為などしていません」、本当にそうなのか、強要行為などしていないのか、っていう。

松江:いや、強要行為はあった。

加賀:うん、で、「このことについては、撮影現場にいた複数の人物の証言もあります」って、この複数の人物って誰なんですか?

松江:僕は、松尾さん。

加賀:う〜ん、それはいつ、どの段階で証言をもらったの?

松江:これを作る時。

加賀:松尾さんは証言してないっておっしゃってる。

松江:あ〜、

加賀:この前話を聞いた時。ここ、食い違うんですよね。

松江:そっか…

加賀:じゃ、どっちかが嘘をついているっていうことでいいですね?

松江:嘘をついているっていう言い方はして欲しくないけど、これはそういう認識でした。

藤本:これを作る時に…?

松江:松尾さんに確認をとりました。うん。

加賀:とってないって、松尾さんは言ってました。じゃ、どっちかが嘘をついているっていうことですね。松江さんの主張だと、松尾さんが嘘をついているっていうことになりますよ。

松江:うん。

川上:それは、実際に松尾さんに電話をかけて、この問題となるシーンの撮影の時に…強要行為はなかったですよね?って…

松江:あと、これ、松尾さん、見てると思いますね。

川上:いや、証言を取ったかどうかが大事で…

松江:証言はとりました。

川上:それは、いつ?

松江:これを作った時。

加賀:電話で、メールで?

松江:電話だったと思う。

牛丸:声明を出す前に、「あの現場で強要行為なんて、なかったですよね?」って、松尾さんに電話か何かで松江さんが確認した?

松江:はい。

牛丸:じゃ、「強要したことはなかったと思うよ」って松尾さんからお返事があった?

松江:え〜っと、「そういう現場ではなかったよ。」っていう風に言ってまたした。松尾さんは。それは、これを書く前からも言ってました。

牛丸:あともう一つが、「複数」ってあるんですけど、松尾さんだけだと複数ってことにはならないと思うんですけど、そのほかの方っていうのは、どなたですか?

松江:あの現場にいた人、ですね。あの女優さんは僕はもう、連絡先わからないので。

加賀:じゃ、誰なんですか?複数の人物って、誰なんですか?名前をあげてください。

松江:だって加賀くん、いたでしょ?あそこに。

加賀:誰なんですか?要は、(証言)した人としてない人も混ざっているわけですよね?

松江:それは、松尾さん。

加賀:松尾さんと?

松江:いや、あの現場の時にいたのは、松尾さんだけでした。

加賀:じゃ、複数の人物ではないってことですね?じゃ、複数ってことは嘘なんですね。

松江:そうですね。ごめん。

加賀:じゃ、これは嘘を書いたってことですか?

松江:はい。

加賀:じゃ、あと、松尾さんと松江さんで言ってることが食い違うんで。今日はこの問題、解決しきれないってことですね、少なくとも。やっぱり、どっちかが不誠実な対応をとっているわけですね。

満若:電話した時って松尾さんは、ロサでの出来事は知ってたんですか?

松江:はい、もちろん。もちろん、知ってました。

満若:その話の流れで、「確認なんですけど・・・」っていうことで、強要行為があったかどうかってことを松尾さんに聞いたってことですね?

松江:はい。

牛丸:この声明を出されたのは、いつ出されたんですか?

松江:これ、だから31日で、一週間…6日後ですね。6日後。

牛丸:その6日の間に、要するに、松尾さんに電話で確認したと?

松江:ええ、ええ。だけどもし、松尾さんがそこで、これは確認していないと言うのであれば、僕はそれでいいです。そこで松尾さんと言った言わないの話はしたくないです。僕は。僕はちょっと、直井さんにも任せっきりだったこともあったと思う。この声明文を出す時に。

加賀:ちょっと待ってください、いろいろ食い違うんですよ。あの…松尾さんもそうですし、直井さんもそうですし。直井さんはここの文言に関しては、自分はノータッチだったっておっしゃってるんですね。

松江:あ〜、ノータッチ??

加賀:要は、この文言を書いたことに関しては。ま、確かに、直井さんは撮影現場にはいらっしゃらなかったので、証言をとった云々に関しては知りませんとはっきりおっしゃった。

松江:そっか。

加賀:なので証言を取ったのは、直井さんは関与してないんだろう、と。要は、松江さんからの話を聞いて、この文言があることを認めたっていうだけだと思うんですよね。で、松尾さんは「証言してません」と。松江さんは、(松尾さんは)証言だと。それをなんか、じゃ、してないってことで良いですっていうのは…

松江:してないことでいいですとは…

加賀:でも今、そういう言い方しましたよね。

松江:ま、そうだね。ごめん。

加賀:そういうことじゃ、ないんですよね。そうやって。要するに、あの時と同じなんですよね、2年前と。「ここでは言えない」っていう…。

松江:いや、僕が今言ったたいのは、そこで松尾さんが…

川上:松尾さんが証言してないっていう認識なのであれば、こちらからいうことはないですって・・・

松江:そうです、そうです。そういうことです。

加賀:じゃ、次行きましょうか?

加賀:この「加賀氏自身の手によって数十時間に渡り記録された映像素材を、松江監督が構成編集するという共同作業によって作成されたものです」って、まぁ、そうですよね。そこにまぁ、例のシーンを加えたりして。「このような共同作業には、加賀氏も能動的に関わっており」、そりゃそうですよね、当初、そういう、一緒にやりましょうっていう風に始まってるんだから、当然そうなんですよね。「この作品は、松江監督と加賀氏がともにアイデアを出し合って撮影されたシーンもあります」、この辺は「ともにアイデアを出し合って」っていうのは、なんか、ニュアンスの問題も絡んでいるとは思うんですけど、まぁ、そうなんでしょう。「本作品の撮影現場は、暴力的な演技指導や実際の暴力が行使される現場では、決してありませんでした」。まず、この文章そもそもが、見てない人に向けた文章ですよね、言っちゃえばね?松江:見てない人に向けた?いや、僕は、見てる人も見てない人もっていう意識なだけど。それは…見てない人に向けたっていうのは?

藤本:両方ともですよね?

加賀:いや、でも少なくとも、う〜ん、じゃ、まぁいいですよ。「暴力的な演技指導」。そもそも演技指導がないから、暴力的なっていうのも無い。なんか、矛盾する…矛盾するとは言わないけど、ま、うん、そもそも演技指導はないですよね。「実際の暴力が行使される現場では、決してありませんでした」って、ここでいう「実際の暴力」ってのは、なんですか?殴るとか?

松江:殴るのか?ま、でも、そういうことだね。

加賀:例えばじゃ、羽交い締めにされたっていうのは、暴力ではないんですか?

松江:そこは、ごめん。謝罪する。ごめんなさい。

加賀:実際の暴力…?

松江:実際の暴力だね、ただ、僕撮ってるときは、そういう認識は薄かった。「童貞。をプロデュース」っていう…

加賀:あと、この2年前の段階でも薄かった。

松江:薄かった。ごめん。薄かった。

加賀:じゃ、さっきも言いましたが、ちょっと戻りますけど、「性的なシーンの強要やパワーハラスメント等の違法または不当な行為は、童貞をプロデュースにおいては存在しません。加賀氏の一方的な主張を受けて一部で宣伝されているような、本作は暴力で作られた映画であるという風潮は全て事実無根であり、明確に否定します」って。これ書いたときも、本当にそう思って?

松江:書いたときはそう思ってた。

加賀:う〜・・・・今は違う?

松江:今は違う。

牛丸:あの、壇上で、加賀さんがあのとき、AV業界の人で取り囲んで「パンツ脱げよ」って言ったっていうことは、事実あったっ?

松江:AV業界の人で?

牛丸:要するに、カンパニー松尾さん、松井さん及びハマジムの方々。AV業界の人だと思うんですよ。その時関わってたんで…

松江:えっと、あの時「パンツ脱げよ」って言ったシーンでは、僕と加賀くんと女優さんしかいませんでした。

牛丸:で、それっていうのは…事実とは…僕の、認識が違ったかもしれないんですけど、それってパワーハラスメントにはならないと思っていたということですかね?

松江:あの時はそうですね。

牛丸:年齢的にも23歳の男性がいて、松江さんは学校時代の講師でもあり、その、お世話になっている、年長者である松尾さん。AV業界でいっても名の知れた存在である方の仕事の現場に行って、「どれだけ時間かけんだよ」と。で、「早く撮影終わらせるためにパンツ脱げ」と。それはやっぱり力関係がそこに介在した、さらに本人が嫌だといっていることを行使しようとしたのは、ちょっと考えるとやっぱり、もし自分がしていたとしても…

松江:そうですね、ええ、ええ。

牛丸:若い男の子に、例えばお店で働いてて、「お前、明日正月かもしれないけど、人必要だから出てこいよ」って言ったら、それはパワーハラスメントになるわけなんですけど。それは、声明を出した時には、壇上でああいうやり取りがあったけれども、やっぱりパワーハラスメントっていう意識はなかったっていう?

松江:そうですね、たぶんなかったですね。それよりも、映画を面白くするっていう…方がまさっていたし。

牛丸:壇上で加賀さんの訴えを聞いた上でも、映画を面白くするっていう考えが勝っていたが故に、それはパワーハラスメントっていう行為にはあたらないと思ったっていうこと?

松江:そうですね。それはものすごく、今…

牛丸:それはまた別なベクトルな話だと思うけど、そこにまで考えが及ばなかった?

松江:及ばなかった。

満若:壇上で加賀さんが主張されていることは、何一つ理解できなかったっていうことですね?

松江:そうです。

川上:なんでこんなことされてるんだろう?って?

松江:されてんだろうじゃなくて…

満若:こいつは、何を言ってるんだろう?って、たぶんそういう風に受け取られた。

松江:たぶん、そうですね。

牛丸:それ以外、あの動画を客観的に見た人たちは、大多数が、加賀さんの主張を聞くと、やっぱりパワーハラスメントというような行為があったんじゃないかって、たぶんみんな認識だったと思うんですけど。

松江:そうですね。

藤本:一応その、強要シーンの発言を確認したいんですけど、加賀さんに向かって「お前待ちなんだよ、松尾さんを待たせるなんて、いい度胸だな」って言ってらっしゃるのは、覚えていますか?

松江:覚えてます。たぶんカメラに言ってるんじゃないかな?

藤本:映像にはたぶん入ってなかったと思います。

松江:入ってなかったですか。

満若:なかった。

松江:ああ、そうですね。

藤本:それはかなり、明確なハラスメント的な発言だと思いますけど。

松江:そうですね。ただ僕は当時、そういう風に振舞って作品を撮ること自体が、作品が面白くなるんじゃないかっていう風に考えていました。

藤本:当時もハラスメントだとわかる言葉だと思いますが…

松江:あ〜、当時そのハラスメントということばを強く認識していたかというと、そこは薄いですね。(ことばじゃなくても)ええ、ことばじゃなくても、そういうこう、

藤本:追い詰めることばになるってことは、理解していた?

松江:ええ、理解していた。でも、それがこの映画には必要だという風に考えていました。

牛丸:声明の文面には、「パワーハラスメントは無かった」って用いていて、松江さんにしろ、今伺ったのは、映画を作るために面白くしようとする行為というのとパワーハラスメントということは同時には介在しないという意識だったという…

松江:そうですね。はい。

牛丸:面白くしようと思えば、それなりの圧力みたいなものとか、説得懐柔みたいな行為というのは当然、生まれてきて、それを受けた側がパワーハラスメントだと思っていたとしても、自分の中ではそのつもりはなかったと。

松江:はい、当時はですね。

牛丸:そしてその声明文を出された当時にも、無かったということですね。

松江:はい。

藤本:今はそうは思わない?

松江:今は思わない。

松江:いや、なんか、本当に、あの時の映画が広がっていく波というか、それに乗らなきゃみたいな感じはありましたね。それは、ほんとに、ごめん。

加賀:この声明文によると、保身しか感じないんですけど。

松江:そっか…加賀くんごめんね、本当に。なんか、あの…だからインタビュー記事を読んで、2年前に加賀くんがやったことがわかったっていうのがあるのね、本当に。

加賀:僕が、ちょくちょく書いてたブログは読んでなかったんですか?

藤本:舞台挨拶の事件直後に、同じような内容のブログを…

松江:えっとね、今詳しい内容とか全く覚えてないけど、あの時は読んだ。

加賀:なるほど。

川上:ただあんまり、認識が変わるってまでには?

松江:いや、会いたいっていうのはあった。だけど今こういう、加賀くんが怒りを持っている時に会えないな、と思ってたの。だからこのないだ、夏に、木村文洋くんが間に入って、あ、これで加賀くんと会えるかな、と思ったのね。

加賀:その、理解が及ばなかったところから理解に至るまでにあったきっかけって何?

松江:うんとね、それはさっき言った、曖昧にしたところ。

加賀:要は、2年前は気づいてなかったわけですよね、

松江:うんとね…、さっき曖昧にしたところだよね、やっぱり。さっき言ったところ。

加賀:要するに、強要はなかったっていう声明文を出したわけじゃないですか。そこから、やっぱり強要はあったって思い返すに至ったきっかけってなんなんですか?

松江:はっきりと強要があった。そこは認めなきゃいけないと思ったのは、やっぱりあの木村くんの、あの時からかな。だから会いたかったっていう…木村文洋くんと話して…。ま、それ以外にも、たくさん人と話していたし。

藤本:どういうお話をされたんですか?その時は。

松江:いや、木村くんがたぶんブログで書いたことだね。

加賀:ブログで書いたこと?

松江:やっぱ「加賀くんと仲直りしてほしい」って書いてたこととか。

加賀:なんか、けっこう、常識で考えたら、仲直りっていうような次元じゃない…

松江:仲直りっていうのは、まぁね。「会って話してほしい」っていうようなことを書いてあって。

加賀:あの、客観的にいうと、あって話すことはないんですよね。本当は、それは。

松江:そうなのか。

加賀:僕だから、やってるけど。これはたぶん異例なケースだと思います。僕がそれを望んでるってのは、ありますけどね。常識的に考えて、やったことと、鑑みると、普通はあり得ない。それこそ弁護士を間に挟んでの話がたぶん、普通だと思いますけど、ま、僕もそれは望んでないので、それはいいんですけど。ただ…

松江:そっか…。

加賀:なんかやっぱり僕は、松江さんはまだこう、物事を綺麗にしてるなって思ってしまって。

松江:加賀くんはずっとそういう風に、綺麗にっていうけど、本当にそういうつもり、ないんだよ。本当に。

加賀:この文章、卑怯だと思いません?自分で。

松江:うん、今振り返ると卑怯だね。

加賀:これだって、プレスリリースで出したわけですよね?で、メディアに取り上げてもらったわけじゃないですか。何社かいろんな媒体に。

松江:なんか、うん…でも、僕は加賀くんと話したかったよ。

加賀:その卑怯さ、悪質さに無自覚っていうのは、本当に都合が良すぎる気がします。その…、なんか、うん、それはもう12年前、もっと言ってしまえばそのずっと前からもそうですけど、あの、うん。なんか未だに誠実さが感じられないですね。ご自分では誠実に言っているつもりなのかもしれないですけど。ここには謝罪の意図は一切ないですよね、例えば。

松江:うん?謝罪の意図は無い…?

加賀:謝罪の意図はないですよね、ここの文章の中には。

松江:そうだね。

加賀:悪いとは思っていなかったっていうわけですよね、自分たちはあくまで被害者で、っていう認識だったっていうことですよね。

松江:うん、そうだね。いや、被害者でっていうことだけではないよ、そこは違うよ。やっぱり、加賀くんとその、2年前、10年間向き合ってこなかったっていうことの形だよね、それは。僕が思ったのは、別に加賀くんが憎いとかそういうの、全くないということ。

加賀:いや、ちょっと、これ…。

松江:いや、まぁいい、いいや、じゃ。

加賀:話がちょっと…

加賀氏と松江氏の対談 テープ起こし(4)