f/22

作り手によるドキュメンタリー批評

『童貞。をプロデュース』問題 f/22編集部より

加賀賢三氏と直井卓俊氏の対談記事公開について

f/22編集部は、『童貞。をプロデュース』問題の続報として、加賀賢三氏と直井卓俊氏(当作配給)の対談記事をここに公開します。

本稿は2019年12月に取材した内容ですが、これまで掲載を見送っていたものです。

以下、経緯を記します。

※取材記事をめぐる掲載拒否等の経緯について、詳細は以下のリンクをご参照ください。

弊誌ウェブサイトで今年1月22日、23日に掲載した2本の記事、「続報『童貞。をプロデュース』問題 当事者同士の対談—そこから見えてきたもの(4) 松江哲明氏との対談」および「加賀氏と松江氏の対談 テープ起こし は、松江哲明氏への抗議として公開に踏み切りました。(松江氏は取材記事の掲載拒否を弊誌に要請した後、1月21日にnoteの記事にて弊誌への批判を展開されました)

直井氏からは、松江氏と同じく確認用のゲラを送った後、一方的な掲載拒否の連絡がありました。理由は、「(加賀さん)本人の言葉からは感じ、考えるものがありましたが、このゲラからはこの問題を解決しようという意志や、客観性や社会性が見受けられませんでした。」というものです。

編集部としては、直井氏が加賀氏との対談にて「継続した名誉回復、権利回復に努める」と合意した事実に期待し、また松江氏が行ったような弊誌に対する公での誹謗中傷は無かったため、掲載を一旦見送り、公開の時期について検討していました。

しかしながら、その後直井氏による具体的な動きは見られず、本人に意向を問い合わせましたが返答はありません。

このような状況下で、本件がこのまま有耶無耶になり、議論が立ち消えになる事を危惧しています。なぜ本件のような不幸が起こってしまったのか?今後同様のケースを生まないためにも、構造的な要因を、継続的に議論・検証していくべきというのが編集部の立場です。(そもそも編集部の人間が、全員「作り手、表現する側」であるという危機意識が根底にあります)直井氏の掲載拒否の意向に反し、加賀氏と直井氏の対談記事を公開は公益性を有すると判断しました。

カンパニー松尾氏については、掲載拒否の連絡後も編集部に対して「掲載拒否の理由が言えなくて申し訳ない」との連絡を頂いたため、現段階での掲載を見送ります。

2020年4月14日 f/22編集部


追記  f/22編集長 満若勇咲

記事公開にあたり、コロナウィルスの影響で過剰な情報があふれている中、このタイミングで記事を公開する意義はあるのだろうか?という意見が、f/22編集部内でもありました。

タイミングというのは表現活動においてとても重要ですが、一方で世間の風潮に追従するという面もあります。TV業界のそういう面に僻易としていた私は、少なくとも自分が主宰するf/22では世間の顔色を窺わず自由に活動したいという強い思いを抱いています。

それに、コロナウィルスが終息すれば、世間は『童貞。をプロデュース』に目を向けてくれるのでしょうか?そんなことはあり得ないと残念ながら私は確信しています。もしこの問題を世間が受け入れられる土壌があるのであれば、10年以上も問題が継続することなかったでしょう。

私たちの活動は大きな火を起こさなければ意味がないのでしょうか?そうではないと私は考えます。消し飛びそうな小さな火でも、燃え続ける限りいつかは大きな火を起こすことは出来るはずです。だから、その火を絶やさない様に粛々と薪をくべ続ける努力をせねばなりません。

このような状況の中で問われているのは、世間がどう反応するのかではなかく、己はどうあるべきなのか?ということだと思います。

だからf/22はそのような姿勢の媒体でありたい、私はそう願っています。